研究概要 |
1.生食(C)モルフィン(30,300,3000μg/100g)(Mo),フェンタニール(10μg/100g)(F)投与とナロキソン併用投与時のラット血漿ANP,ACTH,CompB,c-GMP,c-AMP濃度への影響を検討した。血漿ANPとANPのセカンドメッセンジャーとされるc-GHP濃度はモルフィンの用量依存性に増加した。F群では一層の増加があった。ナロキソの併用でこの増加作用は完全に抑止された。 モルフィン,フェンタニールとキオピオイド受容体のμ型に特異的に親和性をもつ作用薬であり。ナロキソンは同じμ型拮抗薬であることよりモルフィン大量投与時のラット血漿ANP濃度増加にはオピオイド受容体のμ型が関与していることが判明した。更に視床下部-下垂体-副腎系への影響を血漿ACTH・compB・c-AMP濃度を指標として考察すると、AMP濃度同様、用量依存性の増加が見られることより、ラットではモルフィンの大量投与により視床下部-下垂体-副腎系も亢進されることが判明した。ナロキソンは視床下部レベルでこの亢進作用を抑制していると推察された。モルフィン投与によるANP分泌亢進にはモルフィン濃度が1μM/100g以上必要であることも判明した。 2.前の研究よりオピオイド受容体のμ型の関与は判明したが、他のオピオイド受容体(ε,κ,δ,μ)型について、各々特異的親和性をもつβ-エンドルフィン、ダイノルフィン、DADL-エンケファリン、フェニタニールを(20nM/100g)投与して検討した。血漿ANP、c-GMP濃度の著しい増加はフェンタニール群のみに見られた。この増加作用はモルフィン同様ナロキソン併用により完全に抑制された。又視床下部-下垂体-副腎の亢進もナロキソン投与で有意に抑制された。以上の結果よりオピエート受容体のμ型がラット心房よりのANP分泌ならびに視床下部-下垂体-副腎系亢進に強く関与していることが判明し、他のε,κ,δ型受容体の関与は認められなかった。 3.続いて本年度はvitroの検討をする予定である。
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