研究概要 |
1.DATEX社製のNMT(Neuro-Muscular Transmitter)とNEC社製のコンピュータPC-9801とをRS-232Cコードを用いて連結し単収縮刺激に対する拇指内転筋の筋電図をオンラインでフロッピーディスクに記録することに成功した。 2.パンクロニウムとベクロニウムを投与後の血中濃度と筋弛緩度の経時的変化を同時に測定記録し,現在解析中である。特に血中濃度のデータを隠して,筋弛緩度の経時変化のデータのみから,いかに精度良く薬物動態学的パラメータを推定できるかを解析中である。 3.特注の神経筋弛緩測定装置を用いて,ベクロニウム0.04mg/kgを投与後の患者の一方の手からは単収縮の変化をもう一方の手からはテタヌス収縮の変化を同時に測定記録した。テタヌス刺激に対する反応は一般に2峰性の変化(fade現象)を示すが,これをかりに第1ピーク,第2ピークと呼ぶことにすると1人の患者から単収縮およびテタヌス第1.第2ピークの3本のトレンド曲線が得られることになるこれらのデータを2コンパートメントモデルHillの方程式を仮定し血中濃度曲線を推定した。その結果,単収縮から得られた血中濃度曲腺とテタヌスの第2ピークから得られた血中濃度曲線とは完全に一致したが,テタヌスの第1ピークから得られた血中濃度曲線は全く別のものになった。つまりテタヌス刺激後促通(Post-tetanic facilitation)とかテタヌス刺激後増強(Post-tetanic potentiation)と呼ばれているこの第一ピークは薬物動態学的機序によるのではなく薬効力学的機序によっていることが証明された。 4.単収縮刺激に対する反応とテタヌス収縮に対する反応の関係は非線形的なものであって,作用発現時と作用回復時とでは全く異なる振舞いをすることが明らかになった。
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