研究課題/領域番号 |
63570725
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
向田 圭子 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (20182066)
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研究分担者 |
木下 博之 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (00127515)
藤井 宏融 広島大学, 医学部, 講師 (60034021)
盛生 倫夫 広島大学, 医学部, 教授 (80033950)
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キーワード | セボフルレン / 無機フッ素 / 吸入麻酔薬 |
研究概要 |
吸入麻酔薬の多くはフッ素化炭化水素であるため、代謝産物として、フッ素が産生される。一方、フッ素は血中の濃度が50μmal/lをこえると腎障害発生の危険性が大きくなるといわれている。故に、新しい吸入麻酔薬の臨床応用においては、フッ素の産生排泄を知ることが重要である。 昨年度の研究ではウサギにフッ化ソ-ダを静脈内投与し、血中及び尿中の無機フッ素を測定した。この結果、尿中へのフッ素イオンの排泄は投与したフッ化ソ-ダの約25%であることを明らかにした。したがってフッ素化麻酔薬が代謝されて生成されるフッ素イオンの量は尿中に排泄される量の約4倍であることを示唆した。この結果をふまえて、本年度は、新しく開発された吸入麻酔薬でフッ素を7つ有するフッ素化メチルエチルエ-テル・セボフルレンについて、フッ素の産生排泄の解析を試みた。1%、2%、3%のセボフルレンをウサギに2時間吸入させ、経時的に血中及び尿中の無機フッ素をイオンクロマトグラフィ-で測定した。1%、2%、3%のセボフルレン2時間吸入後の血中無機フッ素濃度は各々、22.82±8.73、31.89±11、41.86±13.22μmol/lであったが、吸入中止後は、血中の無機フッ素濃度は、すみやかに減少した。尿中無機フッ素総排泄量は、26±7、39±12、64±18μmolであった。尿量、尿の水素イオン濃度、尿浸透圧の変化はなかった。血中無機フッ素濃度または尿中フッ素総排泄量と吸入セボフルレン濃度との間には相関がみられた。 昨年度の結果で示した様に、無機フッ素の尿中からの回収率が低い。今後さらに、セボフルレン吸収後有機フッ素の排泄などについても、研究を行い検討を行う予定である。
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