研究課題/領域番号 |
63570726
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤岡 泰博 広島大学, 医学部・附属病院・集中治療部, 助手 (00192310)
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研究分担者 |
久保田 稔 広島大学, 医学部・附属病院・手術部, 助手 (00221226)
菊地 博達 東邦大学, 医学部・麻酔学教室, 教授 (40034029)
向田 圭子 広島大学, 医学部・附属病院・手術部, 助手 (20182066)
藤井 広融 広島大学, 医学部・麻酔・蘇生学教室, 講師 (60034021)
盛生 倫夫 広島大学, 医学部・麻酔・蘇生学教室, 教授 (80033950)
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キーワード | 悪性高熱症 / スキンドファイバ-法 / Ca^<2+>ーinduced Ca^<2+> release(CICR) / ヒト正常値 / 発症頻度 / 統計的解析 |
研究概要 |
<スキンドファイバ-法による研究>悪性高熱症(以下MH)は、骨格筋々小胞体からのカルシウムによるカルシウムの放出(Ca^<2+>ーinduced Ca^<2+> release,以下CICR)機構の異常な亢進により発症するという仮説に基づき、スキンドファイバ-法を用いた研究を行い、以下の結果を得た。1)悪性高熱症の動物モデルであるPietrain種ブタ骨格筋のCICRはハロセンテスト陽性例、陰性例共に、野ブタに比べて異常に亢進していた。2)MHの既往歴や家族歴がなく、筋疾患やCPK値の異常のない予定手術患者28例を対象にCICRを測定し、ヒト骨格筋におけるCICR値の分布を求め、正常域を決定した。3)臨床的にMHと診断されたり、MHの家族歴があるなどの患者27例の骨格筋におけるCICRを測定した。その結果、劇症MH4例のCICRはすべて亢進していた。又家族歴を有する患者4例中2例で亢進がみられた。しかし亜型MH6例中CICRの亢進は1例であった。MHの関連疾患といわれている努力性熱射病の1例でCICRが亢進していたが、悪性症候群の1例は正常域であった。また、MH発症の予知因子の一つとされる高CPK血症の4例のCICRはすべて正常域にあった。 <本邦におけるMH症例の集計>前年度に引き続き、MHの集計を行い解析した。今年度は新たに13例の劇症MHが報告され、すべて救命されていた。全例に吸入麻酔薬が使用されており、これまでに比べてエンフルレン症例が増加していた。又イソフルレンによる症例が初めて報告された。この13例中CICRの測定がなされていたのは9例で5例に亢進が認められていた。1961年の本邦第1例から通算すると252例となった。 <本邦のMH発症頻度の推計学的検討>MH症例の集計と政府管掌保険報告、広島大学及び関連病院全身麻酔例をもとにMHの発症頻度を推計学的に求めた。その結果、MHは全身麻酔約6万例に1例の頻度で発症すると考えられた。又男性は女性の約4倍であり、10から20才代の男性では11,000から15,000例に1例発症すると考えられた。 以上の結果は、学会や研究会、学術雑誌に発表した。
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