研究課題/領域番号 |
63570728
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
新井 達潤 愛媛大学, 医学部, 教授 (50033436)
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研究分担者 |
高石 和 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (70179406)
多保 悦夫 愛媛大学, 医学部, 助手 (00179871)
天川 和彦 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (50136313)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | no-eflow現象 / 遅発性脳血流減少症 / ニカルジピン / 全脳虚血 |
研究概要 |
脳虚血後の2次的脳血流減少症についてイヌを用い2つの方向から検討を行ってきた。ひとつは脳血流再開直後の血流不全状態(no-reflow現象)で、他は遅発性脳血流減少症である。いずれの研究においても全脳虚血は大動脈遮断+大動脈・右房バイパス法で作成した。 No-reflow現象:12-15分間の全脳虚血液後大動脈弓より動脈圧で墨汁を上行性に注入すると脳組織に墨汁で染まっていない部分(no-reflow)が認められた。これは中および前大脳動脈流域に多く脳底動脈流域には少なかった。脳血流再開後5分を経過して墨汁を注入した場合、no-reflowは認められなかった。これは血流により早期にno-reflow部分は洗い流されことを意味し、虚血性脳障害での本現象の意味が少ないことを示唆する。一方虚血開始直後生食で脳内血液を洗い流した後15分間虚血にした例では神経学的回復が良かった。これはno-reflowを予防した場合には予後が良いことを意味し、さきの結果と矛盾する。脳内血液停滞によるno-reflowのためではなく、血液停滞中に発生する何らかの生化学的変化が悪影響を及ぼすと考える。 遅発性脳血流減少症:15分間の全脳虚血後一過性の反応性血流増加にひきつづき6-10時間に亘り大脳皮質および脳幹部血流が、20-40%減少することが確認された。本症にはまだ十分効果的な治療法は認められていない。われわれは臨床に使用し得ることを基準に薬剤の検討を行った。この結果カルシウム拮抗薬ニカルジピンが、他の影響が最も少なく、脳血流増加作用を示すことが判明した。脳血流再開後ニカルジピンを1μg/kg/minで4時間投与した群では24時間および48時間での脳波回復、脳機能回復が有意に良かった。これは遅発性脳血流減少が脳予後に影響していることを意味する。しかし血流再開5日目の神経学的回復度には差はなかった。虚血後の全身状態の悪化、感染等が原因と考えられる。
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