研究概要 |
1989年3月に実験に供していたラットをと殺し,その膀胱の肉眼的・顕微鏡的所見をとった。その結果,0.2%のα-difluoromethylornithine(DFMO)を投与した群での発癌率は43%で,前回同様の抑制効果が認められた。対照群(DFMO 0%)では77%であった。一方,今回の実験での新しい濃度である0.1%,0.03%,0.01%のDFMO投与群の発癌率は,各々40%,60%,57%であり,統計学的には,0.2%と0.1%でのみp<0.01の危険率で有意差があるとされた。他臓器(顎下腺,甲状腺,副甲状腺,気管,肺,心,肝,脾,胃,十二指腸,回腸,結腸,腎,前立腺,精嚢,睾丸,皮膚,腹直筋,腰髓)の検討では,明らかな変化は認め難かった。 DFMOの尿中排泄については,DFMOの飲料水中の濃度と尿中濃度を連記すると,0.2%で0.14%,0.1%で0.09%,0.03%で0.03%,0.01%で0.015%と,低濃度となるに比例して尿中濃度が上昇し、最低濃度では飲料水よりも尿中の方が高濃度を呈していた。 以上の結果は,計画していた目標をほぼ満足させるものであったので論文として発表した。
|