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1988 年度 実績報告書

ヒト腎細胞癌の分子腫瘍学的研究:癌遺伝子の活性化及び癌抑制遺伝子の欠失

研究課題

研究課題/領域番号 63570747
研究機関大阪大学

研究代表者

藤田 潤  大阪大学, 医学部, 助教授 (50173430)

研究分担者 北村 幸彦  大阪大学, 医学部, 教授 (70028520)
キーワード腎癌 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / 多段階発癌 / 点突然変異 / DNAトランスフェクション / 染色体欠失 / 体細胞変異
研究概要

腎細胞癌は稀に家族性の発生がみられることから遺伝的な要因も考えられてはいるが、その病因は不明である。また細胞性癌遺伝子の活性化に関する検討もなされてはいない。そこで16例の腎癌症例(腎細胞癌15例、移行上皮癌1例)の腎全摘除術標本から、腫瘍部と正常腎部とを採取し解析を行なった。1.NIH13T3細胞を用いたDNAトランスフェクション法により2例(腎細胞癌1例、移行上皮癌1例)からHーras癌遺伝子を検出した。ras蛋白p21の解析から、前者は12番、後者は61番コドン内の点突然変異によるras遺伝子の活性化と考えられた。移行上皮癌ではHーras癌遺伝子が活性化されやすいのかどうか、さらに検討が必要である。2.制限酵素を用いた解析により、腎細胞癌で活性化されていたHーras癌遺伝子は、12番コドン内に変異をもつことを確認した。さらにこの患者の正常部腎組織においても同様な変異を認めた。末梢白血球中には変異を認めなかった。すなわちras癌遺伝子の活性化は、後天的に腎発癌過程の早期に起きたこと、しかしそれのみでは腎上皮細胞の形態変化をおこすには不十分であることが示された。3.Hーras遺伝子をプローブとしてサザンブロッティングを行ない、第11染色体短腕部の欠失が腫瘍細胞のみに起きている例を見出した。腎癌では高頻度に第3染色体短腕の欠失転座が報告されているが、この部位に存在するraf原癌遺伝子の構造や発現には異常がないことをノーザンブロッティングで示した。本研究により、ヒト腎癌の発生には、ras癌遺伝子の活性化だけではなく複数の癌遺伝子の活性化及び癌抑制遺伝子の不活性化が関与していることが示唆された。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Fujita,J.: Journal of National Cancer Institute. 80. 39-43 (1988)

  • [文献書誌] Fujita,J.: Urological Research. 16. 415-418 (1988)

  • [文献書誌] Fujita,J.: Cancer Research. 48. 5251-5255 (1988)

  • [文献書誌] Nakayama,H.: Develop Growth Differentiation. 31. 79-83 (1988)

  • [文献書誌] Kuriu,A.: Leukemia Research.

  • [文献書誌] Fujita,J.: Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.

  • [文献書誌] Kitamura,Y.: "Proc.Symp.Critical Gene Expression in Carcinogenesis" IARC,Lyon, 11 (1988)

  • [文献書誌] Kitamura,Y.: "The immunology of fetus" CRC Uniscience,Boca Raton,FL,

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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