研究概要 |
潰瘍性大腸炎の治療薬であるSalicylazosulfapyridine(SASP)が雄の妊孕性を低下させることは著者らもすでに(J.Utol.132:682-686,1984)報告してきている。しかし、その作用部位、作用機序についてはまだ不明な点が多い。またSASPの代謝産物であるSulfapyridine(SP)と、もう1つの代謝産物である5-Aminosalcylate(5ASA)のどちらにこの妊孕性低下作用が存在するかということもまだ明確にはされていない。今回我々は、SD系雄ラットにSPおよび5ASAをdose別に経口投与し、これにSD系雌ラットを交配させてその妊娠率から妊孕性を、比較検討した。さらにSPの作用部位を検索する目的でSP投与ラットの精巣および精巣上体の組織中SP濃度を測定して比較検討し、以下の結果を得た。 1)SP250mg/kg.day、SP125mg/kg.day投与によりdose depandentな妊孕性の抑制がみられた。 2)DoseがSP6.5mg/kg.day以下の群では妊孕性の抑制はみられなかった。 3)5ASA投与群には妊孕性の低下はみられなかった。 4)SA250mg/kg.day、5週投与のラットのSP濃度は、精巣に比べて精巣上体が有意に高値でることからSPの主体となる作用部位は精巣上体であることが示唆された。 5)SPによる造精機能障害はminimalであることも上記所見を裏づけるものと考えられた。
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