Wister系ラット96匹を、Vit-E欠乏食、コントロール食、VitーE過剰食の3群に分け、3週令より飼育し、9週令より15週令まで6週間N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamin(BBN)を投与、30週令で屠殺し、VitE血中濃度、肝臓、腎臓、睾丸の組織濃度測定及び病理組織学的検索を行った。VitーE血中濃度、組織内濃度には各々3群の相関性が認められた。膀胱の組織変化に関しては死亡例が多く、評価可能例47例と少なくコントロール群16例、E欠乏群20例、E過剰群11例であった。コントロール群は正常粘膜組織10例、上皮細胞層の増殖、6例、E欠乏群は正常組織、12例、上皮細胞の増殖7例、乳頭状変化1例、E過剰群は正常組織、6例、上皮細胞の増殖、5例であった。 以上の如く、ビタミンE濃度と膀胱腫瘍発生との関連性は認められなかったが、この原因として、基本食の不適によると思われるラットの発育不良、栄養失調死の関与が考えられた。したがって、昭和63年11月より、餌の配合を再検討し、現在実験経過中である。
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