研究概要 |
雄性Wister系ラットを使用し、餌をビタミンE欠乏食、ビタミンE過剰食、そしてビタミンE正常のコントロ-ルの3群に分け、3週令より飼育し、各群に、0.05%N-buty1-N(4-hydroxybuty1)nitrosamin(BBN)を、9週令より17週令まで8週間投与した。30週令まで各餌にて飼育し、屠殺し、膀胱摘出した。膀胱をホルマリン固定後、肉眼的に腫瘍の数と大きさを測定し、パラフィン包埋、薄切し、HE染色にて病理標本を作成した。組織像の所見は過形成、乳頭状腫瘍の性状、および腫瘍の異型性をSquire等の評価基準に準じ、grade化し、U検定により、比較検討した。その結果、腫瘍のサイズに有意差はみられなかったが、腫瘍数は、コントロ-ル群、E欠乏群間でE欠乏群に、コントロ-ル群、E過剰群間でコントロ-ル群に多く認められた(P<0.05)。過形成は、E欠乏群、コントロ-ル群共、E過剰群に比し、高率に認められた(P<0.05,P=0.059)。乳頭状腫瘍は、E欠乏群、E過剰群間のみで、有意差をもってE欠乏群に高率に認められた(PP<0.05)。腫瘍の異型性には、各群間で有意差が認められなかった。 結果:ビタミンEは実験的膀胱腫瘍の発生を抑制する傾向は示したものの、有意の結果は得られなかった。 なお、ビタミンEは老化との関連においても注目されており、老化が免疫能低下をきたし、発癌に帰結するなら、ビタミンEの抗腫瘍効果は免疫能賦活によるとも考えられ、さらに、免疫学的関与について検討の予定である。
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