研究概要 |
ヒト睾丸絨毛上皮癌細胞株JHTK-1を用いて、分化誘導物質の探索を形態学的、生化学的に行なった。 研究方法:JHTK-1細胞は、形態学的にみると上皮様で、ほぼ均一な細胞から成り、単層あるいは重層状にコロニ-を形成して増殖する。一方、機能的にはHCGを産生分泌する。このJHTK-1細胞を5×10^4個の濃度で、30mm径のplastic dishに植え込み、その培養液中に各種化学物質(分化誘導物質)を添加して培養した。48時間後に細胞数を計測するとともに、培養上清中のHCG濃度を測定し、細胞1個当たりのHCG分泌量(HCG mIU/cell/48hr)を算出した。この際、HCG分泌量の増加を、絨毛癌細胞が合胞体細胞に分化する指標として、分化誘導物質の判定を行なった。検索した化学物質は、sodium butyrate,N-butyric acid,bromodeoxyuridine,dimethylsuifoxide(DMSO),prostaglandine E_1,concavaline A,retionic acid,vitamin C,interferonγである。 研究成績:検索した化学物質のうち、次にあげる物質に程度の差はあるが、JHTK-1細胞のHCG分泌量の増加が認められた。すなわち、コントロ-ルと比較して、sodium butyrate(2.0mM)で4.2倍、N-butyric acid(50μg/ml)で5.8倍、dimetylsulfoxide(2.0%)で1.8倍、vitamin C(100μg/ml)で3.3倍であり、これら物質では、分化誘導効果が認められた。しかし、prostaglandin E_1,concavalineA,interferon-γには、HCGにはHCG分泌量の増加が認められず、分化誘導効果はみられなかった。
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