研究概要 |
本年度前半までにin vitroでのDisease Oriented Screening Systemによる本腫瘍の薬剤感受性検査を終えた。これにはHACー2、OVAS、RMGーI、KKの4種の卵巣clear cell carcinoma細胞株を用い、使用した薬剤はADM、THPーADM、EPI、ACR、DM、ActーD、BLM、PEP、NCS、MMC、VLB、VCR、VDS、AraーC、5ーFU、MTX、CPM、CDDP、CBDCA,254ーS、MCNU、LーASP、ETPの23種である。薬剤濃度は0.01,0.05,0.1,0.2,0.5,1,2,5,10μg/mlの9濃度とし、薬剤を含まない系を対照とした。5ーFuはこの10倍濃度、LーASPは0.005ー500IU/mlとした。接触時間は1、3、6、12、24、48、72時間の7系列とした。方法は、96穴microplateに細胞を植え込み、72時間後に薬剤と接触させ、各時間後にPBS(ー)にて3回洗浄して薬剤を除去、培養を継続、72時間後にMTT assayによって酵素活性を測定し、surviving fraction curveを描いて抗腫瘍作用を判定した。この結果、4種の細胞株のうち、RMGーIは非常に強い薬剤耐性を示し、全ての薬剤が無効であった。他の3種は比較的共通した薬剤感受性を示し、本腫瘍が最も感受性の高い薬剤はActーD、CDDP、254ーSの3種であった。 本年度後半は、この結果を受けて、in vivoにおける抗腫瘍作用をヌ-ドマウスを用いて検討した。HACー2細胞をBALB/c系雌ヌ-ドマウス背部皮下に移植し、増殖の安定した2週後からActーD,CDDP,ACR,THPーADMを腹腔内投与し、腫瘍の増殖に与える影響を観察した。その結果、ActーDとCDDPを併用した場合に最も縮小効果が高いとの結果を得た。従って、本腫瘍に対しては臨床的にもActーDとCDDPの併用療法が有効である事が示唆された。
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