胞状奇胎がandrogenesisという事実は梶井、大沢この染色体分析により有名である。その後完全奇胎のうち80〜90%がandrogenesisによるhomozypous XX moleと判明し、その残りがheterozygous XXmole、あるいはhetorozygous XYmoleとされている。部分奇胎はtriploidyとされており、PTD (persistent trophoblostic disease)に移行しないとされている。1984年 和気らはheterozygous moleの中にはPTDに移行するものがあり、homozygous XXmole はPTDに移行しないと報告したが、英国のLawlerらはこれに反駆している。 従来この種の研究は染色体分析のbandiyにより行われているが、今日、最近確立されたDNA fingerprint法によって検討を試みた。Jeffreysらのminisatellito DNAはこの方法にきわめて有用とされているが、このprobeの使用には種々の制約がある為、まず私は新らしくprokeを作成し、このprobeが親子鑑定に十分応用できることを証明した。 次に十例の胞状奇胎組織(うち2例部分奇胎)及びその父親、母親よりDNAを抽出し、DNA fingerprintを行った。完全奇胎と思われた8例のうち、明らかなandrgenecisは4例しか証明出来ず、他4例はandrogenesisとも、父母双方のバンドを必ずしも持っているとも言えず、これらが今後絨毛癌に移行するか否か予後を追跡したい。 まだ一年しか経過していない為、予後については断定できないが、androgenesisを証明しえたし例がmetastatiCmoleとなり、部分奇胎の一例がHCGの低下が思わしくなく、化学療法を必要とした。そのPTDと思われる2例は療法共heterozygous moleではなく、従来の報告と予備していたま絨毛癌のDNA fingerprint はいまだ未施行で、胞状奇胎も10例しか検討しておらず、何よりもまだ1年弱しか経ていないため、今後の検討が必要であると感じている。
|