研究概要 |
1.卵巣hCG/LHレセプターの構造:現在までの数多くの研究にもかかわらず、hCG/LHのレセプターの構造は依然不明である。我々は種々の架橋試薬を用いてhCG/LHレセプターの構造を分析してきたが、hCGやLHが単一ポリペプチド鎖ではなく、2つのsubunit(α,β)から構成されていることがその解析を複雑にしている。hCGを^<125>Iで、標識するとその大部分の放射能は、α-subunitに取り込まれるが、これを用いてブタ顆粒膜細胞のhCG/LHレセプターをaffinity labelすると、DTT還元下のSDS-PAGEで136K(A),108K(B),92K(C),78K(D)の分子量を有した4個のComplexの形成が認められた。この中で(A)と(B)のバンドは極めて強かったが、(C)と(D)のバンドは弱かった。そこであらかじめβ-subunitを^<125>Iで標識した後、非標識のα-subunitと再結合させたhCGを作成し、同様にaffinity labelを行ってみると、同条件下で136K(A),116K(B),100K(C'),78K(D)のComplexが形成された。α、β各subunitの分子量がそれぞれ34K、22Kであることから、Complex(A)には両subunitが共に含まれているがComplex(B)にはαのみが、(B')にはβのみが含まれていることが推定された。すなわち、hCG/LHレセプターの分子量は136KからhCGの分子量50Kを差し引いた86Kであると考えられる。また残るComplex(C)と(D)の実態は不明であるが、最近明らかにされたTSHレセプターの構造から類推するとG蛋白の一部ではないかと推定される。 2.hCG/LHレセプターの機能に及ぼすhCG糖鎖の影響:hCGの糖成分を除去すると生物活性が著しく低下することはよく知られた事実である。我々はhCGの糖成分を部分的にまたは完全に除去した誘導体を作成しそれらのホルモン活性を検討した。その結果、hCGの糖部分は血中での分解からhCGを保護することばかりでなく、c-AMP産生などの細胞内反応性に関与していることが判明した。
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