研究課題/領域番号 |
63570785
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
半藤 保 香川医科大学, 医学部, 教授 (40092720)
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研究分担者 |
藤田 和之 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (80219005)
大野 正文 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (40213821)
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キーワード | 雄性発生 / 三倍体 / 全胞状奇胎 / 部分胞状奇胎 / 腹腔内培養 |
研究概要 |
細胞遺伝学の発展により、全胞状奇胎、部分胞状奇胎が各々、雄性発生、三倍体という染色体異常に基づいていることが明らかとなった。前年度まで、発生工学の技術を応用して、マウスにおいて雄性発生卵、三倍体卵を作製することができた。しかし、それらの卵はin vitroにおいては発育が不良であった。マウス前核期卵は卵管内移植することが必要とされているが、その手枝は煩雑である。より簡便な、より生理的な培養方法として、diffusion chamber内に卵を封入し、マウス腹腔内での培養を試みたが、chamber内に析出するフィブリンにより卵回収が困難であることが分かった。そこで寒天円柱に卵を直接封入し、腹腔内での培養を試みた。この方法によりF_1(C57×C3H)マウス卵において、桑実胚の74%が胚盤胞に、二細胞の65%が胚盤胞まで発育した。ICRマウス卵においては、桑実胚の72%が胚盤胞にまで発育した。腹腔内の環境は、卵割の進んだ胚には良好と考えられた。しかし、一細胞期よりの発育は悪く、F_1マウス卵で二細胞、四細胞まで発育したものは、各々、22%、15%であった。ICRマウス卵においては、50%、17%であった。四細胞以上に発育したものは認められなかった。以上のことより、生理的環境下と思われた腹腔内培養は、今回の実験の一細胞期の培養系には残念ながら適さないことが判明した。したがって、一細胞期卵は卵管内移植が必須の手技と考えられた。卵巣嚢上を走向する血管をあらかじめ焼灼しておくと術中出血に悩まされることなく容易に卵管内移植できることが分かった。この方法により、卵への機械的損傷の加わっていない三倍体卵40個を移植したが、今までのところ着床の確認されたものはなかった。今後例数を重ね、雄性発生卵、三倍体卵の発生過程が明らかとなり、絨毛性疾患の続発性変化機構解明の一助となれば幸いである。
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