研究概要 |
1)HPV感染症の有無を簡易に検索しうるFilterhybridizationを試みたが,汚染が多く判定困難なものが多かった。RNAブロ-ブを用いたViraPAP法によると判定が容易でスクリ-ニングとしては優れていることが判明した。本法によると頸部痛変例の59%に陽性であるのに対し,正常対照群では2.5%が陽性であった。 2)CIN例にinsituhybridizationを施行とした所,1度64%,2度90%,3度56%,計68%がHPV陽性であった。16/18型が44%,31/33/35型が21%と多く,6/11型は3%と僅少であった。追跡調査を行うと,16/18型感染例に増悪するものが多い傾向があり,6/11型のものはすべて退縮した。 3)頸癌24例についてサザンブロット法で調べると,16,18型,その他がそれぞれ25,4,17%にみられた。PCR法によると16,18型が50,8%と倍増した。すなわち,PCR法によらないと検出できないくらいにウイルスDNAの少い浸潤癌が多数存在することを示している。 4)浸潤癌のDNAを検索するとCーmyc遺村子の増幅を4%に認めノ-ザンブロット法で調べるとRNAの過剰発現を30%に認めた。しかし,HaーrasおよびerbB遺伝子については増幅も過剰発現もみられなかった。 5)酵素抗体法によるとCーmyc蛋白,rasP21およびEGFRは浸潤癌の8,14,5%に陽性であった。ras陽性の癌は陰性のものに比し,リンパ節転移が多かった。
|