研究概要 |
1.受容体の検索ー子宮内膜癌組識中のER・PR陽性率は、前年度までの体癌31例の検索により、分化型腺癌11例中8例(73%)、中等度分化型腺癌で13例中3例(23%)、低分化型腺癌4例中0例(0%)、腺棘癌3例中2例(67%)で分化の高いもの程陽性率が高く、正常子宮内膜に認められるそれに近く、ホルモン依存性を存続していると思われた。このことをさらに詳細に検討する為に、体癌でも若年者に発症するものはプロゲステロンによって拮抗されない内因性の高エストロゲン状態に起因すると考えられているので、この若年者の体癌について検索した。体癌の前駆病変としとエストロゲン依存性病変であるところの子宮内膜増殖症は、この若年者体癌に高率で随伴する為、手術摘出標本中非癌部内膜を有する112/例を検討したところ増殖症を合併していたものは、62例(55%)、正常内膜のみを随伴したもの50例(45%)で、前者の平均年令は49.0才、後者は57.3才で明らかに若年者に増殖症は随伴していた。増殖症の種類は、異型増殖症78.7%、腺増殖症44.7%、嚢胞増殖症36.2%であった。この若年体癌の他の特徴は、臨床的に進行期が早く筋層浸潤が軽度、リンパ節転移が少ないという予后良好なものが多く、基礎的デ-タと同様、組識学的に高分化型であり、ER・PR陽性であるものが多く、ここでもホルモン依存性腫瘍といえる結果が得られ、基礎的・臨床的デ-タの一致をみた。2.Cutocrine,Paraurine作用因子の検索ーE_2の作用の二次作用因子としての可能性の示唆されているEGFに対する受容体(EGFーR)は、正常内膜では周期変化をするが、分化型子宮体癌株では、正常内膜に近い発現をみたが、(Ishikawa株2,500sites/cell)、低分化型になるとEGFRは、過剰発現をしていることが明らかになった(HEC1:11,000sites/cell、HEC508 11,000sites/cell)。さらにEGFは、Ishikawa株の増殖を濃度依存性に亢進する傾向があることも判明した。
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