細胞融合法を用いてEBウイルスゲノム陽性の上皮細胞を樹立化に成功した。その後、この細胞をクロ-ニングすることにより、EBウイルスゲノム陽性及び陰性の細胞を選びだした。この細胞を長期培養することにより、腫瘍原性の相違がみられた。その結果は以下のとおりであった。 1.EBウイルスゲノム陽性及び陰性細胞とも短期間の培養では、ヌ-ドマウスへの腫瘍原性がみられなかった。 2.長期培養を続けることにより、EBウイルスゲノム陽性細胞はヌ-ドマウスへの腫瘍原性がみられ、その生着した腫瘍の病理組織像は上咽頭癌と類似の低分化型偏平上皮癌であった。一方EBウイルスゲノム陰性細胞は、長期間培養にもかかわらず、何ら腫瘍原性がみられなかった。 3.EBウイルス陽性細胞は腫瘍プロモ-タ-を作用させることにより、EBウイルスの活性化がみとめられた。 以上の結果から、EBウイルスは上皮細胞にゲノムが定着、長期安定化することにより腫瘍原性を発揮するものと考えられた。このことは、EBウイルスと上咽頭癌は、密接な関連性を有していると考えられる。
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