思春期における声変り、女性に対するホルモン療法におけるホルモン音声障害、喉頭癌特に声門癌が女性に比べ男性に高率に発生すること、以上のことから喉頭組織特に声門はステロイドホルモンに対する感受性を有することが十分考えられる。しかし、未だ男性ホルモンレセブターの正常喉頭組織及び喉頭癌組織での生化学的な定量はなされているものの声門が男性ホルモンにより制御を受けていると証明は不十分である。今回、オートラジオグラフィー及び喉頭癌移植ヌードマウスを用いてヒト喉頭癌の男性ホルモンを含むステロイドホルモンに対する感受性及び親和性について検討した。ニワトリの鳴膜、マウスの声帯及びヒトの男性の声帯への男性ホルモンの取り込みのあることが証明された。 このことより喉頭組織が男性ホルモン標的器官の1つであることが証明された。一方、喉頭癌の成長に対して各種ステロイドホルモンの影響については、ステロイドホルモンの種類により多少その成長に対し相違はあものの決定的な結論をつけることはできなかった。今後数種の喉頭癌株を維持し検討していく必要性がある。
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