研究概要 |
先に我々はサルの視索拡を破壊すると、破壊側に向う視運動性刺激に対して視運動性眼振(OKN)が、両眼誘導ともに開発されず、追跡、急速眼球運動は全く正常である事を発表した(Katoecal,1986)。今回サル4匹の条件づけを行い次の中継核と思われる橋核内背側のカイニン酸による破壊を試みた。1)方法(1)条件づけ:Wurty(1969)の方法にしたがいFixationtaskに対してレバーを押すとオペラント条件付けによって視線方向を制御する方法をとった。即ちサルを固定器につけ、眼前40cmのスクリーンにスポットを投影、これがフリッカーした時レバーを押すと電磁弁が開き報酬(ジュース)を与えた。条件付け初期には条件付け強化子として報酬の時ブザーを鳴らした。飢水動因を強めるため訓練の前の時間は絶飲状態とした。サルが慣れるにしたがい、スポットを小さくし、テリッカー時間を短縮し条件づけを強化して行った。スポットを固視出来るようになったサルは追跡、急速眼球運動が出来るようになった(2)橋被蓋網様体核破壊:術前にEOGによるコントロールをとった後、頭蓋骨の頭頂部を一部削開し硬膜を露出ここよりフングステン電極を刺入の0.5HZのストロボフラッシュに応ずる部位にカイニン酸を0.1〜0.3ml注入した。2)結果追跡眼球運動、急速眼球運動は定量的に術前と変わらなかった。60O/Sのステップ刺激対するOKNは初期急速増加は4匹とも不変であった。緩徐増加に対しては、2匹では時定数が延長し視運動性後眼振(OKAN)が4〜8秒短縮した。他の2匹のサルは術前と変わらなかった。組織学的には4匹とも橋被蓋網様体核の部分破壊だったが、後2匹では表在性だった。3)結論 橋被蓋綱様体核は2匹の部分破壊であるがOKNの緩徐増加の時定数が延長しOKANが知縮する事よりstorage mechanismの1部に組込まれている可能性が示唆された。
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