研究課題/領域番号 |
63570822
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
細井 裕司 近畿大学, 医学部, 講師 (80094613)
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研究分担者 |
今泉 敏 東京大学, 医学部, 助教授 (80122018)
太田 文彦 近畿大学, 医学部, 教授 (50088530)
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キーワード | 聴覚障害 / 日本語単音節 / 類縁関係 / 聴覚心理 / 語音聴力検査 / 語音異聴 / 語音地図 / 補聴器 |
研究概要 |
1.日本語単音節語音相互の聴覚心理的遠近関係を普偏的に表現した語音地図を作成し、語音地図上に個々の聴覚障害者の異聴をベクトルによって表現した異聴地図を用いることによって、聴覚心理的な観点から異聴の質的評価を行うシステムを完成した。 2.本システムを用いて、聴覚障害者を対象に種々の研究を行った。 (1)聴覚障害者の補聴効果の短期的評価を行った。補聴器のフィティング直後にスピ-カ法によって語音聴力検査を行い、補聴器装用前の語音聴力検査結果と、語音弁別能という量的な面からと、異聴地図を用いた質的な面からの両面から比較することによって評価した。従来から行われていた量的な面からの評価に質的評価を加えると、評価結果が大幅に変わる症例があった。補聴効果を聴覚によるコミュニケ-ション能力の向上という観点から判定する重要性を証明した。 (2)聴覚障害者の補聴効果の長期的評価を行った。本法によって補聴効果の評価を行った聴覚障害者を対象に、2、3年経過した後の使用状況を調査することにより、本法の有用性を調べた。補聴器の使用状況と異聴地図によって評価した補聴器の評価結果との間の相関は従来の評価法より高く、長期的な観点からも本法の有用性が確認された。 (3)異聴地図を補聴器装用後の聴能訓練の評価に応用し、満足すべき結果が得られた。 3.本研究の関連研究として、聴覚の時間分解能に関する基礎的ならびに臨床的研究を行なった。今後は、これらの研究成果をふまえて語音認識のメカニズムの解明に取り組んでいく予定である。
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