本年度の研究計画は、1)種々の異種情報を同時記録するためのタイミングパルス装置の設計、製作、2)市販のEGG装置の精度向上のための改造、3)PGG装置の設計、製作、4)音響分析プログラムの開発、5)小数の正常人被験者を用いたパイロット実験を行う、であった。そこでまず、2)のEGG装置のキャリブレーションを超高速度映画との声帯振動同時記録により行なった。装置の時間的な分解能は十分であることが解り、振幅情報の精度はプローブのあてかたの吟味とブーストアンプを使用することで解決した。次に3)のPGG装置の製作は東芝製のフォトトランジスタTPS605を使用して行なった。但し、永島医科器械製の光源SLー6を直流電源で駆動すべく改造が必要であった。パイロット実験によりほぼ満足の出来る性能であることを確認した。次に4)の音響分析プログラムの開発であるが、これは日比、平野が研究分担者になっている試験研究(1)音声障害の検査、訓練システムの開発研究(代表、宇都宮大学、粕谷英樹)の協力をあおぎ、彼らのシステムを必要な変更を加えて移植することとした。現在移植を終え、稼働中である。このように2)、3)、4)について個々には予備実験を終了し、その有効性を確認した。現在1)の同時記録のためのタイミングパルス装置の開発中で、これも本年度中に終了できる見通しを得ている。このほかにも、空気学的検査に用いてきた永島医科器械製の発声検査装置PSー77の出力電圧をAD変換器の入力電圧に合わせるために必要な改造を行った。当初の研究計画はほぼ遅滞なく進行していると言えよう。
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