空気力学的検査に使用する発声機能検査装置PSー77の出力をAD変換して取り込むための必要な改造を終えた。声帯の振動状態に関する検査に使用するEGGの入手が輸入手続きのため大幅に遅れたが、これもキャリブレ-ションと必要な改造を終えている。PGGについても設計、製作を終えている。音響分析による検査に用いる分析装置は、試験研究(1)「音声障害の検査・訓練システムの開発研究」での共同研究者(宇都宮大学・粕谷秀樹)が開発したものを移植、現在稼働中である。このように、発声機能の総合的評価を行うための4つの検査について準備段階を終え、実験進行中であり若干の知見も得られているところである。正常例における音声の総合評価ではかなりのデ-タの蓄積を終え、病的例との対比を行っているところである。また、正常例の特殊な場合として歌声の評価も行った。病的例では、とくにmass病変の代表である声帯ポリ-プ、声帯の物性が変化する声門癌、声帯が麻痺によって閉鎖不全をきたす反回神経麻痺に絞ってデ-タを蓄積してきた。一方、これまで振動状態に関する検査でル-チンに用いてきたビデオ・ストロボ・ファイバスコピについて、計測精度とデ-タの意義について基礎的検討を加える必要性が認識されるに至った。ファイバスコ-プの光学的歪みは避けられないものであり、咽頭の観察は不正確なものとなる。歪みの程度の許容限界を算出し、この補正方法についても検討した。また、ストロボスコピによる声帯振動状態の観察における注意点を明らかにした。
|