研究概要 |
色光刺激ERP(早期視細胞電位)用光刺激装置(1号試作品)を用いての追加実験を2色型色覚異常者について行ったので、その結果を報告する。 第1色盲8例16眼(9〜24歳,平均14.9歳)、第2色盲10例20眼(6〜29歳、平均13.2歳)を対象に色光刺激ERPを観察した結果、前者では赤色閃光(Kodak ラッテンフィルタ-No.23A使用)ERPの平均振幅が、後者では緑色閃光ERP(同フィルタ-No.57使用)の平均振幅が、それぞれ正常対照者10例20眼(9〜29歳,平均14.8歳)に比べて高度に有意(P<0.001)低下を示した。 赤色閃光ERPに対する青色閃光(同フィルタ-No.47使用)ERPの平均振幅比をみると、第1色盲ならびに第2色盲は正常者と比べて、それぞれ高度に有意(P<0.001)の増大ないし減少を示した。これより、1号試作品での臨床的有用性を追認する結果を得たが、干渉フィルタ-下での実験を試みるには光量不足であった。 そこで、日本光電工業の協力を得て、3号試作品を開発し、その実用性を検討中である。放電エネルギ-は約21J(コンデンサ-端子電圧320V;コンデンサ-容量420μF)と従来の1/4であるが,閃光時間[1/3光出力(h)]は約0.14msecで、ピ-ク時の照度は1号試作品の約3.7倍の190万kLx有余の高い照度を得て、色フィルタ-はもとより、干渉フィルタ-(660nm,460nmなど)挿入下においても効率のよいERP波形の観察が可能となった。 今後は症例をさらに重ねて、早期視細胞電位の600nmでの振幅(V600)に対する460nmでの振幅(V460)の比(V460/V600)およびV600およびV460に対する振幅の消長を正常者との対比において検討を加える予定である。
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