研究概要 |
日本光電工業社製の特型光刺激装置を用いて、単色閃光早期視細胞電位(ERP)を誘導した。本装置の放電エネルギ-は21.5J(コンデンサ-両端電圧320V;コンデンサ-容量420μF)、発光時間は約0.5msec、閃光ピ-ク時間30μsec、ピ-ク時の照度はフィルタ-なしで2,130,000kLxであった。日本真空光学のMIFーW型干渉フィルタ-No.21ιλο600nm、Δλ1/2 12nm、Tmax46%)、No.14(λο532nm,Δλ1/2 13nm、Tmax43%)、No.7(λο457.5nm、Δλ1/2 14.5nm、Tmax48%)を用いて、いわゆる赤、緑、青の単色閃光ERPを記録した。ちなみに、赤、緑、青のこの種フィルタ-装入下の照度は、それぞれピ-ク時において45.262.5kLx、33,547.5kLx,8.520kLxであった。 ERP振幅を観察の対象にしたが、その振幅は角膜陽性相R_1の頂点より角膜陰性相R_2の頂点までを測定した。 石原表、東京医大式色覚検査表(T.M.C.)、大熊式色覚検査表、Farnsworth Panel Pー15、およびNagelI型アノマロスコ-プの検査結果より2色型色覚異常者と診断した16名(第1色盲6例に眼、第2色盲10例20眼)を対象に検討した結果、赤色閃光ならびに緑色閃光ERPの各平均振幅は、第1色盲ならびに第2色盲において、正常対照者10例20眼と比ベて、ともに高度に有意(P〈0.001)の低下を示した。第2色盲においては、青色閃光ERPの平均振幅は、正常者と比べて、高度に有意(P〈0.001)の低下を示した。 赤色閃光ERPに対する青色閃光ERPの平均振幅比は、第1色盲ならびに第2色盲において、正常者と比ベて、それぞれ高度に有意(P〈0.001)の増大ないし減少を示した。2色型色覚異常者においては、青色閃光ERP振幅/赤色閃光ERP振幅比はProtanとdeutanの他覚的検出のための一つの指標として、臨床的有用性を有することを論じた。
|