無水フッ化水素菌体処理法が酵母や糸状菌の細胞壁のみを選択的に破壊し、細胞内容物のDNAやRNAおよび酵素タンパクをintactに、生物活性を保持した状態で抽出できるかどうか検討を加えた。細胞壁溶解酵素に対して非感受性の酵母Candida albicansおよび糸状菌Chaetomium gracileおよび形質転換酵母Saccharomyces cerevisiae F102、同AH22およびlinear DNA killer plasmidで形質転換したkluyveromyces lactisなどを用い、本法によって、DNAを抽出した所、いずれも40kb以上のDNAが抽出できることが判明した。このDNAは制限酵素に対して感受性であり、T4リガーゼによりligationされた。常法によって得られたDNAをcontrolとして比較すると同じ泳動パターンを示した。RNAについては、messenger acted paperによりmRNAをC.gracileから部分精製した後、無細胞タンパク合成系によってタンパクを発現させ、また他方、溶菌液から可溶性タンパクを部分精製して、抗体を作製した後、イムノブロッティングを試みた所、多数の高分子タンパクが検出された。そのタンパクの中にはデキストラナーゼに相当するバンドも見出された。 また、細胞壁溶解酵素に対して非感受性の酵母や糸状菌からプラスミドのスクリーニングを行っているが、未知のプラスミドベクターは未だ見出されていない。現在、新しく考案されたパワーミキサー法と併せてスクリーニングを継続している。
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