研究課題/領域番号 |
63570871
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
福井 一博 岡山大学, 歯学部, 助教授 (70034171)
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研究分担者 |
苔口 進 岡山大学, 歯学部, 助手 (10144776)
太田 寛行 岡山大学, 歯学部, 助手 (80168947)
児玉 孝雄 岡山大学, 歯学部, 助教授 (30034200)
加藤 慶二郎 岡山大学, 歯学部, 教授 (50028718)
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キーワード | Streptococcus mutans / 不溶性グルカン合成酵素 / グルコシールトランスフェレース遺伝子のクローニング / 蔗糖 / スクラーゼ |
研究概要 |
Streptococcus mutans 6715株のDNAを制限酵素Sau3Aで部分消化して得られた3-5Kb断片をベクタープラスミドpUC18のBamH1部位に挿入し、この組換えDNAを大腸菌JM109株に導入した。約5000コロニーを不溶性グルカン合成酵素(GTF-I)を抗原として作ったウサギ血清を用いてコロニーイムノアッセイによって調べた結果、6株の陽性クローンを得た。これらクローンの菌体超音波破壊標品の不溶性グルカン合成活性を調べたところ、2株が合成活性を示した。このキメラプラスミドをpABO1と2となずけ、両クローンの諸生状を検討した。pABO1には3.9kbのDNAが挿入されていた。この組換え体大腸菌(ABO1)には160kDのGTF-Iが発現していることがPAGFの活性染色とウエスタンプロット法により分かった。この酵素活性はIPTG添加により20倍増大した。一方,pABO2に挿入されているDNAは7.0kbで、このプラスミドを持つ大腸菌(ABO2)のGTF-Iの分子量167kDであったが、このGTF-Iの産生はIPTG添加によって誘導されなかった。S.mutans 6715株のGTF-1の分子量が180kDであることから、本酵素の遺伝子サイズは4.9kbと計算される。従って、pABO1にはGTF-I遺伝子より小さいが、活性部位を占めるDNA断片が挿入されている、一方pABO2には全GTF-I遺伝子領域を含むに十分なDNA断片が挿入されている。このことは両キメラプラスミドの制限酵素地図の比較によって確認した。大腸菌は蔗糖を代謝できないが、GTF-I遺伝子が挿入された大腸菌は蔗糖から不溶性グルカンを生成すると同時に果糖を遊離し、この果糖を代謝して有機酸を生じ、増殖できるようになると考えられる。蔗糖含有培地に分離クローンを接種したところ、AB01株は増殖したが、ABO2株は増殖しなかった。今年度の第一目標であったGTF-I遺伝子のクローニングに成功したので、現在ABO1と2株からの本酵素の精製と効率の良いGTF-I発現系の確立に着手している。
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