本年度はLong junctional epithelium(LJE)の機能について検討することを目的として、既にイヌ裸出セメント質面及ぶラット裸出象牙質面に確立したLJEモデルを用いて、以下の実験を行った。 1.LJEに対するプラ-ク付着の影響について ビ-グル犬5頭を用いて、予めLJEを形成した実験群とLJEを形成しない対照群に対してプラ-ク付着実験を行った。プラ-ク付着開始後、4週までの各期間について、臨床的評価を行い、光顕ならびに電顕標本を作製して観察した。その結果、実験群及び対照群いずれも臨床的症状の発現状況においては差がなく、光・電顕観察においても、LJEの崩壊と歯肉溝の深化の過程や防御システムを担う貪食空胞を含有する細胞の出現状況が、JE同様の経時的変化を辿ることから、LJEはJEと同様の防御機能を有していることが示唆された。 2.LJEに対するPGE_2及びエンドトキシン(ET)の影響について 実験にはラットを用いた。予め、裸出象牙質面に対してLJEを形成した実験群と形成しない対照群の歯肉溝部へ0.5mg/mlのPGE_2および0.2mg/mlのET(E.coli由来)を各々60分間投与した。投与後14日までの光顕ならびに電顕標本を作製した。その結果、PG及びETの投与においても対照群と同様に一旦LJEの歯冠側部が破壊されて歯肉溝が深化するが、次第に基の状態に回復しており、LJEはJEと同様の防御機能と修復機能を有していることが示唆された。コラゲナ-ゼ及びヒアルロニダ-ゼについては、現在、動物実験を行って光顕並びに電顕標本を作製中である。 3.今後の研究計画について LJEが最終的治癒形態なのか或いは治癒過程における一時的な現象に過ぎないのかどうかを、本LJEモデルを用いて検討する予定である。
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