1.ポケット内細菌と口臭との関連について (1)ポケット内細菌の揮発性硫化物産生能について 歯周ポケット内よりペーパーポイントにて細菌を採取し、特別に作製した横穴付き試験管を使用して、液体培地にて好気ならびに嫌気培養を行い、産生した揮発性硫化物をガスクロマトグラフにて定性・定量した。その結果、ポケット内細菌が経時的に多量の揮発性硫化物(口臭成分)を産生することが確認できた。 (2)ポケット内細菌の量と菌叢による揮発性硫化物の関連について 採取した細菌ならびに培養した細菌を暗視野顕微鏡にて同定し、運動性桿菌・スピロヘータと揮発性硫化物との関連を検索した。その結果、明確な結論は未だ得られていないが、ある種の細菌と関連が認められる傾向にあった。 (3)口腔内所見との相関について 歯周病とくに歯周組織検査の各項目と細菌叢、揮発性硫化物との関連について検索し、統計学的分析を行った結果、幾つかの検査項目と有意の相関が認められた。 2.悪臭物質産生過程における含硫アミノ酸の推移について 唾液・ポケット浸出液・菌液などからシスチン、システィン、メチオニンなどの同定・定量を考え、液体クロマトグラフを操作中である。抽出方法、溶媒など適当なものを検討試験中である。 本年は1.の症例追加とともに、特に2.の方法を確立させ揮発性硫黄化合物の前駆物質である含硫アミノ酸の実態を解明したい。
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