研究課題/領域番号 |
63570905
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
片倉 直至 東北大学, 歯学部, 講師 (70005031)
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研究分担者 |
細谷 誠 東北大学, 歯学部, 助手 (70199503)
本間 久夫 東北大学, 歯学部, 教授 (90005017)
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キーワード | ティッシュコンディショナー / ポリメタクリル酸ブチル / 動的粘弾性 / 貯蔵弾性率 / 動的粘性 / 損失正接 / ゲル化時間 |
研究概要 |
ティッシュコンディショナーは瞬間的に加わる力に対しては、弾性体として働き、粘膜の変形が回復するときのように、持続する小さな力に対しては粘性的な性質を示すことが望まれる。したがってこの材料の所要性質、適切な使用法等を知る上で、材料の粘弾性的性質を解明することがきわめて重要である。このような観点から、本研究では試作したアクリル系の粉末ポリマーと、可塑剤液との混合物の臨床的操作性および動的粘弾性挙動について検討を行い、以下の成長をあげた。 1.臨床的操作性の把握 合成したポリメタクリル酸エチル(PEMA)の微粉末とブチルフタリングリコ ール酸ブチル(BPBG)のエタノール溶液との混合物(PEMA+L)について、臨床操作上重要な因子であるゲル化時間を調べた。温度が高く、エタノール量が多いと、ゲル化時間が著しく短くなることがわかった。 またメタクリル酸ブチルの単独重合体(PBMA)あるいはメタクリル酸エチルとの共重合体の微粉末と、アルコールを含まないBPBGとの混合物が、通常の臨床操作時間内でゲル化するという、興味ある知見が得られた。 2.動的粘弾性挙動 従来型の材料、すなわちPEMA+Lの粘弾性的性質に与えるポリマー分子量の影響が、特に低周波数側で顕著に現われ、分子量が小さいと貯蔵弾性率G〓は低下し、損失正接tanδが大きくなった。つまり分子量が小さくなると、長時間側における材料の流動性が増加する。 試料材料PBMA+BDBGの粘弾性的性質を従来型の材料のそれと比較すると、tanδが高周波数側では小さく、低周波数側では大きくなった。本研究の結果によれば、ポリメタクリル酸ブチル系の粉末を用いることによって、さらに適切な物性を有し、液の成分にアルコールを含まない新しいティッシュコンディショナーの製造が可能と考えられる。
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