研究課題/領域番号 |
63570920
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
新谷 明幸 昭和大学, 歯学部, 講師 (10119208)
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研究分担者 |
鶴岡 正吉 昭和大学, 歯学部, 講師 (60103305)
松井 洋一郎 昭和大学, 歯学部, 教授 (60034170)
古屋 良一 昭和大学, 歯学部, 助教授 (80092435)
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キーワード | 顎関節症 / 痛み / 三叉神経脊髄路核尾側亜核 / ラット |
研究概要 |
前年度において、咬筋の電気刺激に応ずる三叉神経脊髄路核尾側部ニュ-ロンの分布と性質について検索し、報告した。今年度において、入力部位を組織学的に検討したところ、さらに以下のようなことが明かとなった。1.尾側亜核浅層からは短潜時群(SR)と長潜時群(LR)が、外側網様体からはSRが記録された。2.それぞれのベキ指数は、2.7、1.9、7.0であり、差異が認められた。3.以上のことから、咬筋からの侵害情報は、三叉神経脊髄路核尾側部において、異なった3つの情報伝達過程によって、上位中枢へ中継されることが示唆された。 咬筋と顎関節の刺激に応ずる三叉神経脊髄路核尾側部ニュ-ロンの性質について検索し、以下の結果を得た。1.135のニュ-ロンの応答を記録した。2.これらのニュ-ロンは、咬筋および顎関節の刺激に対する応答性から、低閾値機械受容ニュ-ロン(LTM)、特異的侵害受容ニュ-ロン(NS)、広作動域ニュ-ロン(WDR)の3群に分類された。3.咬筋の刺激に応答する121ニュ-ロンは、LTM(37)、NS(21)、WDR(63)であった。4.顎関節の刺激に応答する122ニュ-ロンは、LTM(39)、NS(17)、WDR(66)であった。5.これらのニュ-ロンの70%は、侵害受容に関与するニュ-ロンであった。6.また、これらのニュ-ロンの大多数(80%)は、咬筋と顎関節の両者の刺激に応答を示す、収束型であった。7.収束型ニュ-ロンの80%は、咬筋あるいは顎関節の侵害刺激に応答を示し、侵害受容に関与していた。以上の結果から、三叉神経脊髄路核尾側部は、顎顔面部の侵害受容に深く関与しており、収束型ニュ-ロンが非常に多いことから、これらのニュ-ロンが関連痛を含めた顎顔面部の複雑な痛みの発現機構に関与することが示唆された。
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