本研究の目的はまだ研究の住みないコンポジットレジンの圧縮クリープを水中浸漬下でコンポジットレジンが吸水飽和に至るまで行い、コンポジットレジンのクリープ特性とフィラー量との関係を明らかにすることにある。 本年度は市販コンポジットレジンを用いて圧縮応力0〜3.5kg/m^2まで、異なる圧縮応力下におけるクリヘプを500時間にわたり行った研究に対して、本研究費により購入したクリープ試験装置を使用したため研究が促進され、その成果を投稿している。この内500時間後の各クリープひずみと各圧縮応力との間には一次回帰式が成立し、この一次回帰式からコンポジットレジンの吸水膨張応力を推定出来たことは大いなる成果である。 現在フィラー量の異なるコンポジットレジンを試作し、これらを使い実験を行っている段階である。フィラーを含まないものについては4種の圧縮応力でのクリープ試験を終了し、30%と50%のフィラーを含むコンポジットレジンのクリープ試験に入っている。現在まで得られた結果はフィラーを含まないものではレジンの飽和吸水量は圧縮応力の大きさによって異なること、ならびにクリープ試験終了後に水中保管することで、数日後には無負荷状態の場合と同じ吸水量にまで回復し、これに伴いその寸法も膨張することが明らかになった。フィラーを30あるいは50%含んだコンポジットレジンにおいても同様の現象が観察出来ている。これらの吸水量の変化は試験片形状が小さいため、従来の本研室の天秤では感度的に困難であったが、科学研究費により購入した高精度電子天秤(メトラーM3)の使用によって初めて明らかに出来たものでありその成果は頻る大きい。
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