本研究の目的はまだ研究の少ないコンポジットレジンの圧縮クリ-プを水中浸漬下でコンポジットレジンが吸水飽和に至るまで行い、そのクリ-プ特性とフィラ-量の影響を明らかにすることとこれらのクリ-プ曲線からレジンの吸水膨張応力を求めることにあった。 最初に市販のコンポジットレジンを使用して通常の咬合圧に対応した圧縮応力3.5kg/mm^2まで、異なる圧縮応力下でクリ-プ試験をおこない、その結果を利用して吸水膨張応力を推定することに成功した。 この成果に基づき、フィラ-含有量が0、30、50および70wt%のコンポジットレジンを試作し、これらのコンポジットレジンの圧縮クリ-プ試験を水中浸漬下でレジンが完全に吸水飽和するまで500時間にわたり種々の圧縮応力下(0ー5.1kg/mm^2)で実施した。試験後のコンポジットレジンの吸水量は座屈ないしは破断しないような応力の範囲ではほぼ一定と見なせたので、500時間後のクリ-プ歪と各圧縮応力の間に成立した一次回帰式から吸水膨張応力をフィラ-含有量の異なる各々のコンポジットレジンについて算出した。その結果から本研究で使用したレジンマトリクスの吸水膨張応力は0.5kg/mm^2程度となり、先に求めた市販のコンポジットレジンの吸水膨張応力0.7kg/mm^2に近い値となった。各々のコンポジットレジンのクリ-プ曲線は指数関数回帰でき、フィラ-含有量が多くなるとクリ-プ歪が減少することが確認できた。また二次クリ-プ開始時間(変曲点)もフィラ-含有量の増加に伴い長くなることが確認された。試験後の回復は試験後の吸水量の増加にともない増加し、座屈した試験片においても試験後500時間では見かけ上試験前の寸法を上回るようになったものもあり、無負荷の状態の吸水飽和の時の吸水膨張率に匹敵するまで膨張するものと思われた。
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