今年度研究実施計画にもとずいて、外側翼突筋のEMGおよびMKG下顎連動曲線の分析から次のような結果を得た。咀嚼側、作業側外側翼突筋について分析結果。開口相で8人の全被検者で筋活動が認められたが通常の開口と異なって、最大開口位までの活動の持続がみられず、開口途中で活動が停止した。これは咀嚼側への下顎の側方移動と符号する活動停止であることがわかった。閉口相では閉口相終末で8人中6人に咬筋と同期にした活動が認められたが、2人には活動は認められなかった。 この筋活動は咬筋の強い活動と同期していることから、下顎のスタビイライザ-としての活動、とくに課題の安定に働くものと考察した。咬合相では、咬筋と同期して活動するケ-スでは咬筋の活動の消失と共に活動を停止し、インタ-バルをおいて咬合相後半で再び活動を開始し、咬合終末からさらに開口相へと連続して活動が継続した。閉口相終末に活動の認められなかった2人では、咬筋の活動消失後に同期して強い本筋の筋活動が認められ同様に閉口相に継続した。このことから、MollerやWoodらの報告する咬合相後半の本筋の活動が本実験に於ても確認された。この本筋の咬合相後半の活動は咀嚼第5相の直前の等天性活動に近い側方力の発現を考察した。また、咬筋と切り変わる筋活動パタ-ンから考えて、垂直力咀嚼力は閉口相終末の歯の接触のない時期に、咬筋によって発現され、後半歯の接触が極めて接近する接近する咬合相では歯の咬合相では歯の咬頭斜面を利用した本筋の等天性活動によって側方および前方咀嚼力が発現するという2つの咬合力発現相が遂行されることが本年度実験結果からわかった。本筋のバランミングサイドの活動についての分析は平成2年度の研究目的とする。
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