心疾患患者抜歯時には、心拍数・血圧・心電図でモニター、記録(患者監視装置、BP-308ET:昭和63年度科研購入、および麻酔表記録装置AR-500)し、同時にM-モード・UCG記録装置KK/SSD-119M)により観察した。心拍数・血圧・心電図は基本的には処置前、麻酔開始、麻酔中、麻酔直後、麻酔1分後、3分後、抜歯開始時、抜歯中、抜歯終了直後、1分後、5分後、10分後、15分後、20分後を基本としたが、すべての症例において記録できたのではない。 RPPは心拍数×収縮期血圧で検討した。RPPは抜歯のための局所麻酔により、処置前より著しく上昇し、抜歯時にも高い数値を維持するが、抜歯後には、処置前あるいは、それ以下の数値に戻る傾向にあることが明らかとなった。心電図においては、虚血性心疾患患者では、心室性期外収縮の発生頻度が高まったり、ST、Sの変化が認められた。 UCGの検討においては心機能指標として、心エコー図より、拡張終期容量{(左室拡張終期径)^3}、収縮終期容量{(左室収縮終期径)^3}、一回拍出量(拡張終期容量-収縮終期容量)、心拍出量=1回拍出量×心拍数、駆出率:拡張終期容量-収縮終期容量 拡張終期容量 平均心筋収縮速度:左室拡張終期径-左室収縮終期径 左室拡張終期径-左室駆出時間を求めた。 平成元年3月12日現在、まだ症例が少なく、残念ながら、まとめ、学会発表までは至っていない。 今後は、多くの症例に応用し、臨床への有用性を検討すると同時に、平成元年度に科学研究費補助金一般研究(C)に申請要求している様に「心疾患患者の麻酔・抜歯による酸素消費と炭酸ガス排出量の検討」として臨床研究範囲を広げたい。
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