Wistar糸ラット長管骨より得られた脱灰粗骨粉(74〜420μm)を20mgのペレットにして、生後30〜40日齢の同種雄ラットの左右胸部皮下に移植、10日後にペレットを摘出した。微小電流刺激を加えた側(以下実験側)と、非実験側(以下対照側)のペレットを光顕的ならびに電顕的に形態的な変化を検討した。 対照側:移植部に骨性の腫瘤が触れ、扁平で割面は一部に赤味を帯びているに過ぎなかった。光顕的に新生軟骨基質に石灰化が進行するとともに基質周辺に骨芽細胞が一列、時には重層で配列し、原始骨髄の形成が始まっていた。血管の進入は常に3の周囲に数種の細胞を伴い石灰化層の周辺、時には軟骨細胞のlacunaと考えられる部位に出現していた。血管周囲の細胞の特徴は、明瞭な核小体を有するものが多いが、一般にGolai装置、小胞体の発達は著明ではない未分化の細胞やミトコンドリアおよび高電子密度の顆粒を多く持った組織球より、構成されていた。 実験群:骨性の扁平な腫瘤がみられ、割面は全体的に赤味を帯びていた。類洞が各所でみられ、この中にはミトコンドリアおよび電子密度の高い顆粒を多く持った細胞が観察された。これらは単核のものから、5〜6個の核をもつものまであり、石灰化軟骨基質に沿ってRuffled bovderを持った破骨細胞と類似の細胞形態を示していた。なお移植骨粉末塊の辺縁あるいは軟骨誘導のみられなかった部位では、単核でミトコンドリアに乏しく多くの細胞突起とlysosomeを豊富に持つ細胞が存在し、活発な脱灰骨粉末基質の吸収を行っていた。 結論:微小電流刺激は骨芽細胞に直接的に作用し、造骨作用を活発化するのと同時に破骨細胞にも直接的に影響を及ぼし、骨の造現症を増幅することが判明した。骨細胞への分化に及ぼす影響については次年度検索することにしたい。
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