超音波診断装置(東芝ソノレイヤ-SAL35A)および探触子(PLB-508M)使用し、舌、口底の悪性腫瘍で外科的治療を行った11例および健常成人8名について解析を行った。観察方法は前年度報告した通りで被検者は前方部観察時には/a/、/i/後方部観察時には/a/、/ka/とし、舌の運動量および左右対称性について解析した。 結果 1、運動量について、健常成人8名の平均値では前方部14.0±4.18mm、後方部10.1±3.45mm、舌、口底切除症例群では、前方部7.4mm、後方部6.2mm、であり症例群は前方部、後方部とも健常人と比較して舌運動量が少ないものが多かった。また運動量と発語明瞭度との関係を見ると運動量が少ない症例は発語明瞭度が低い傾向がみられ、とくに後方部ではこの傾向が強く顕著であった。 2、左右対称性について:健常成人の平均値では左右の差が前方部0.5±0.45mm、後方部0.7±0.93mmであるのに対し、舌・口底切除症例群では左右差の平均値が前方部4.9mm、後方部4.0mmであり前方部、後方部とも健常人と比較して舌背の左右対称性が悪い症例が多かった。手術法別にみると、単純縫縮例、中間層移植例では左右対称性が悪く、前腕皮弁症例では比較的左右対称性の良いものが多かった。また、舌運動量が多くとも左右対称性が極端に悪い場合には発語明瞭度が低い症例がみられた。
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