研究概要 |
血液希釈法,低血圧麻酔併用時の循環動態および臓器血流について検討した。 血液希釈剤としてサヴィオゾ-ルは循環血液量を維持するためには脱血量の2倍量が必要であり,また血漿浸透圧が低いため時間と経過とともに組織の浮腫がみられた。 10%デキストラン40では脱血量と等量投与で循環血液量の増量が見られるものの腎皮質血流の減少傾向がみられるため低血圧麻酔法との併用は腎への悪影響が考えられた。 サリンヘスは脱血量と等量投与で循環血液量が維持され腎血流量も減少しないため低血圧麻酔と併用される希釈剤としてはもっとも生理的であると思われた。しかしながら低血圧麻酔併用時には脱血量の1.5倍の投与量が必要と思われた。併用する低血圧剤としては,ATPでは心拍出量は増加し、循環動態も安定を示したが、投与量の増加に伴い代謝性アシド-シスが見られた。TNPでは心係数の減少に伴い臓器血流の低下がみられ、TNPの併用は組織の低酸素症の危険性が示唆された。TNGは心係数の低下は軽度であったが、血圧の低下が悪く、目的とする平均動脈圧には達せず、タキフラキシ-がみられた。しかしながらTNPに比較し局所血流は維持れていた。PGE_1は雑種成犬ではほとんど降圧効果がみられず実験を中止した。それ故、今後は揮発性麻酔剤であるイソフルレンを用い、サリンヘスとの併用による、血液希釈,低血圧麻酔に関する研究を行なう予定である。
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