初年度において、微小口唇圧測定センサとして衣服圧測定などに用いられている横浜ゴム社製の感圧導電フィルムセンサが有効であると考え口唇圧測定の実用化に向けて基礎実験を進めたが、微小圧力の測定精度の点で不都合があることが判明したため、大幅に研究計画が遅延する結果となった。平成元年度に入ってから、感圧導電フィルムセンサにかわり、新たにRTVゴムと光ファイバ-による光-圧力変換方式を利用した測定システムを考案し、その基礎的研究を開始した。その結果、微小圧力と圧力分布を同時測定することが可能であることから我々の要求をほぼ満足するセンサとして実用化が可能であることが把握できた。その後、現在まで行った研究実績を箇条書きに述べる 1.患者の口腔内で測定するために、簡便で衛生的なディスポ-ザブルタイプのカ-ドリッジを開発した。また遮光性を得るために、外側を導電シ-トで被覆した。 2.ア-トリッジ内に用いるフィルムの選択には多大の時間を費やしたが、最終的にはコダック社の5063TXが最適であるという結果を得た。 3.同様にカ-ドリッジ内に用いるシリコンシ-トの種類と形状についても検討を進めた。その結果、信越シリコンKE114Sを用い、一辺が1mmの四角錐の形状を有する厚さ0.5μmのシ-トが最切であることが判明した。 4.微小圧力分布センサ-で得られた写真を画像情報として取り込み、PC-9801のパソコンで各種の処理を行うシステムを開発した。これは接触面積の大きさから接触は圧力を計算し、またそれを視覚的に現わすことができる。 5.正常咬合者5名と手術症例5名の口唇接触パタ-ンのデ-タを採取した。
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