研究課題/領域番号 |
63570959
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小林 秀樹 岡山大学, 歯学部(歯科矯正学), 助手 (90153626)
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研究分担者 |
中後 忠雄 岡山大学, 歯学部(歯科矯正学), 教授 (40064654)
藤澤 達郎 岡山大学, 歯学部附属病院, 講師 (70131084)
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キーワード | 大舌 / 矯正治療 / 舌部分切除 / 舌運動 / X線映画 / 頭部X線規格写真 |
研究概要 |
巨舌(大舌を伴う不正咬合の矯正治療で安定した治療結果を得るためには、固有口腔と調和のとれた大きさにまで舌縮小術を施すことが不可欠な場合が多いとされている。舌縮小術(舌部分切除)がどのように矯正治療効果に影響するかについて、舌の大きさと歯列の関係つまり舌部分切除と咬合の歯牙歯槽性変化の関係に焦点をあてて、思春期の顎骨生長のピークが過ぎた3症例を選び、部分切除施術前後の舌の機能運動等の変化と咬合歯列の形態変化の対比を追跡研究した。 舌部分切除手術は、本学第2口腔外科松村智弘教授に依頼し、Becker法により行った。舌切除の範囲の設定は、予測される矯正動的治療終了時の舌顎歯列弓の位置を示す線、具体的には臼歯舌面と前歯舌側歯頸部を連ねる楕円ないし放物線の弧の中に舌が収る様に決めた(検討症例では舌部分切除量は3.0〜3.5cm^3であった)。その結果、各症例につき検討した安静位の舌位の変化、嚥下時ならびに発音時の舌運動の変化と模型観察による歯列の変化等をみると下記のとおりである。 1.部分切除による舌容積の減少によって短期間(約6か月)で前歯、犬歯ならびに臼歯の自動的な位置変化(移動)が明らかに認められた。 2.このため歯列弓形態に変化が生じて、前歯部歯列の舌側の後退、歯列弓長径の減少、犬歯〜臼歯部幅径の減少、および歯列周長の短縮効果がみられた。 3.安静位舌位では舌縮小術後約6カ月の時点で舌尖部は前後的にみて1〜6mmの後退位を示した。 4.X線映画でみた嚥下時の舌運動軸跡では舌尖部が前後的により後方位をとることが認められた。 5.また、発音時(サ・タ)の舌運動軌跡で、舌尖部が前後的に後退位をとり嚥下時と同傾向を示した。とくに構音点は舌縮小術前に比し明らかに後退位をとった。 6.舌縮小術による発語明瞭度ならびに味覚へる影響はなく、これらの異常は認められなかった。
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