歯の機械インピ-ダンス測定法について昭和63年度に測定装置の構成を行い予備実験を行った。平成元年度は測定プログラムの改良、解析法の改良を行い本解析法の完成を見た。 これをもとに、我々は歯根膜を中心とした歯周組織の性状を知る手段として歯の機械インピ-ダンス測定法の臨床応用の検討を進めた。解析項目を以下に示す。 1:正常歯の日内変化について 2:正常歯の経日変化について 3:矯正的に移動する歯の経日的な変化について 日内変化、経日変化における動力学モデルの各パラメ-タ値の変化は20%以下の範囲であることが推測された。成人における矯正的な歯の移動に伴う各パラメ-タ値の変化では、移動開始後7〜14日の間に約50%の低下を観察した。たとえば、ある症例ではc1は60%、c2は30%、kは40%の低下かを示した。 現在進行中の検討事項は次のとおりである。 当測定システムの解析部分には、測定で得た歯の機械インピ-ダンスを歯の機械モビリティに変換し、その周波数スペクトルに対して、Nogesらの提唱した動的力学モデルの各パラメ-タをカ-ブフィッティングによって決定するデ-タ解析操作が含まれている。検討の結果カ-ブフィッティング過程の操作手順により最終的に得られる各パラメ-タ値にばらつきの生じることが判明した。この最終的な解析操作の改良と規格化により、パラメ-タ値の信頼性の向上をはかるために種々検討を加えている。
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