研究課題/領域番号 |
63570968
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
富田 美佐子 昭和大学, 歯学部口腔衛生学教室, 助教授 (60085842)
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研究分担者 |
杉村 たか子 昭和大学, 歯学部口腔衛生学教室, 助手 (00175704)
古山 公英 昭和大学, 歯学部口腔衛生学教室, 講師 (10119191)
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キーワード | フッ素 / 測定法の比較 / 生体試料 / パイロハイドロリシス / ガスクロマトグラフィー / 有機フッ素化合物 / ゲルクロマトグラフィー |
研究概要 |
近年、歯学の分野においても生体試料や食品中フッ素(F)の正確な定量法の確立が望まれている。この研究の目的はionic Fばかりではなく、total F(ionic+non-ionic F)の簡易で正確な測定法を検索することである。 各種の前処理法およびF測定法を組合せて比較し、その応用上の問題点、長所などを明らかにする。本年度は主に以下の3項目を検討。 1.前処理法としてパイロハイドロリシス(PyH)を新たに実施、そのF測定にはガスクロマトグラフィー(GC)を使用。PyHの操作条件(酸素流量、採取液量、適応試料量etc.)の検討を行い、NH_4F、有機F(数種)の標準液および牛血清、ラット血漿、ラット肝などについて検討。 2.有機Fのラット投与実験ー2種の有機F(6ーフルオロトリプトファン,ジフルニサル)をラットに投与し、その血漿、肝についてtotal Fは低温灰化ーGC法、PyH-GC法、ionic Fは直接イオン電極法(IE法)、微量拡散ーGC法を実施した。歯と大腿骨は直接抽出{トリメチルクロルシラン(TMCS)}と微量拡散ーGC法を行い、両者の結果を比較した。 3.牛血清およびF投与ラット血漿にゲル濾過(セファデックスG75)を試み、蛋白画分におけるFの存在を検索。 〔結果〕1.PyHーGC法ではNH_4F、有機Fの牛血清への添加回収率は、95〜100%、その変動率は2〜3.5%と好成績を得た。他法との測定成績の一致率もよく、迅速に灰化でき、外部汚染や損失も少ない本法は有機質中Fの測定には非常に有効であった。 2.有機F投与ラットの血漿および軟組織中Fの測定成績は、低温灰化ーGC法とPyHーGC法とがよく一致した。硬組織はTMCSによる直接抽出も有効であり、簡易な方法として実用できることが判明した。 3.分離した蛋白画分に微量であるが結合型Fの存在を認めた。無機Fと有機F投与の血漿中における蛋白とFの結合には差が見られた。
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