X線CT撮影によって得られた断層像から正確な三次元再構築像を構築するための撮影方法、ならびに画像の原情報であるCT値(X線減弱係数の相対値)を補正する方法を確立することを目的として、以下の各項目について検討を加えた。1)乾燥頭蓋骨10体において、規格撮影の精度を撮影画像の二点間距離計測によって確認する。2)各断層像を縦方向に連結し、立体的な画像を得るための方法を開発し、再構築時における問題点を解決する。3)炭酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト等の物質をCT撮影時に同時撮影して、X線減弱係数の相対値を各被写体間で比較可能なように補正する方法を開発し、その精度を確認する。 その結果、以下の各結果を得た。1)CT撮影時にアクリル樹脂等による撮影部位指示物を同時撮影することにより、誤差率2%以内で、撮影方法を規格化できることが判明した。2)X線束に対して垂直な基準物を用いれば、断層像を積み重ねる際の縦方向における連続性を正確に保てることが明らかとなった。3)炭酸カルシウムの濃度を段階的に変化させ、そのCT値の変化式より得られた回帰性を用いて、撮影時の被写体におけるカルシウム濃度を3%以下の誤差で測定可能であることが確認された。 これらの結果を基にして、現段階においては、顔面部に装着することによってCT撮影を規格化するための装置ならびに炭酸カルシウム混入材を用いた骨塩定量ファントム(補正基準物)を作製中である。
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