矯正治療による歯の移動が、顔面形態とくに口唇部形態にどのような影響を与えるか、また歯の移動によってもたらされた口腔環境変化とくに口唇圧変化が歯の植立状態ととバのような関連性をもつかを調べるためモアレトポグラフィによる顔面三次元計測、セファログラム分析および圧力センサ-による口唇圧測定を行い検討した。その結果以下の成果を得ることができた。 1、モアレ法による立体解析システムについて 従来顔面形態に用いたられて来ている装置に、顔面全体を計測するためモアレ写真規格撮影装置を作成し、頭部固定を良好にするよう改良した結果、左右30゚斜位方向モアレ写真の合成精度を計測上問題にならない程度低くすることができ、それにより立体解析システムが完成した。 2、口唇圧測定装置について 超小型圧力変換器として、共和電業社製PSLー1 KAを用い、温度、耐水性試験を行い、また実荷重較正試験を行ったところ良好であった。同装置を使った口唇測定は、種々の試験を行ったが、最終的にはプレ-トタイプが最も再現性・安定性にすぐれていた。 3、下顔面軟組織の挙動量と口唇圧変化について モアレ写真より軟組織の変動量を検索し、中切歯および犬歯に加わる口唇圧の変化について、挙動量との関連性を調べた。その結果、軟組織運動量が大きい下顎部の圧力変化は大きいが、あまり変動しない上顎部の圧力変化は小さかった。また運動量と圧力変化に相関関係が一部にみられた。 ま矯正治療(前歯反対咬合、外科矯正治療)前後の変化について 口唇圧は硬組織(歯および顎)の後退により減少し、前進により増加する傾向が示唆されたが、個体差や測定上の問題が残されている。
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