研究概要 |
1.子のう菌中、Telaromyces、Eupenicillium、Neosartorya、Hamigera、Eurotium属の合計50余の菌株について、培養、菌体抽出エキスの作製、マウスに対する毒性試験を行った。その結果、Eupenicillium、hirayamae、Neosartorya finscheri等に新たに致死毒性が見出された。 毒性の見出された菌中、これらの2種の菌につき、大量培養を行い、それぞれの毒性本体を解明する研究も開始した。主な毒性本体についてはE.hirayamaeでは7-epi-sclerotiorin,N.fischeriではfumitremorginsと判明したが、それぞれの菌について、他の毒性成分の共存する可能性が考えられたので、現在、それらを単離することを試みている。 2.担子菌中、ニセクロハツ、ツキヨタケ、タマシロオニタケ、アシナガヌメリ等について、天然子実体の採集、菌体抽出エキスの作製、マウスに対する毒性試験を行った。その結果、アシナガヌメリに新たに致死毒性が見出された。本菌については尿素付与土壌から天然子実体を大量発生させる方法により材料を確保し、毒性本体を解明する研究も開始した。主な毒性成分はcrustulinol関連化合物と推定され、現在化学構造の詳細な検討を行っている。 3.子のう菌、担子菌の菌体成分中から免疫系に作用する物質を探索するための生物試験法の一つとして、当初、マウス血清中の抗体量変動を調べる方法を検討し、ELISA法を採用したが、本法は手技が複雑であり、多数の検体のスクリーニング法としては適当ではないことが明らかとなった。それ故、より手技の複雑ではない方法として、遅延型過敏反応能の変化を測定する方法を次に採用した。cyclophosphamideをpositive controlとして測定条件を検討した。現在、本法を用いて担子菌について遅延型過敏反応作用物質の探索を行っている。
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