研究概要 |
タイ産アカネ科植物Uncaria salaccensisより得られたUS-9は、これまで知られていなかったC環セコ形変形オキシインド-ルアルカロイドで、その化学構造は3-Oxo-7-hydroxy-3,7-secorhynchophyllineであることが判明した。そこでこの特異な構造を確定し、更に絶対配置を解明する目的をもって、既知天然物質のRhynchophyllineからの化学的誘導をおこなった。すなわちRhynchophyllineをMCPBAでN-Oxideとした後、生成物を無水トリフルオロ酢酸で処理し、いわゆるModified Polonovski反応を行った。得られた生成物を塩化銅触媒の存在のもと酸素酸化を行うことによって、目的のUS-9を得ることができた。このことによって、US-9のC-15、C-20位の相対配置、絶対配置が疑問の余地なく解明されたのであるが、C-7位に関しては、予想されたように、天然品、合成品ともに水酸基の配置に関する立体異性体の1:1の混合物であることが確実となった。 前記植物の変形インド-ルアルカロイドUS-7、US-8の合成の試みをおこなった。ニトロ基をケトン基等価体とする反応行程設計に基づいて合成研究を行ったが、最終目的に達するには至らなかった。 アカネ科Ophiorrhiza属植物チャボイナモリは、重要な制がん性物質Camptothecinとともにその生合成中間体と目される新規変形インド-ルアルカロイドPumiloside、Deoxypumilosideを含有する。今回Pumilosideの合成研究を行い、TryptamineとSecologaninから出発してこれに成功した。この結果Pumiloside、DeoxypumilosideのC-3位の立体配置がαであることが確証された。 同上植物チャボイナモリの含有アルカロイドについて更に精査を進めた結果、カルボキシル基を有するグルコアルカロイドを得、このものがStrictosidic acidであることを明かにした。
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