当研究グループで既に開発したキラルジエノフイル(R)_s-2-methy1-3-(p-tolylsulfinyl)propenoate(A)およびmethyl-3-(2-pyridylsulfinyl)acrylate(B)とシクロペンタジエントとの環化付加体を用い、Aより(+)-epi-β-santaleneのキラル合成を、Bより(-)-aristeromycinおよび(-)-neplanocinAのエナンチオ集約的合成を達成した。さらに、ジエノフイルBとフランとの環化付加体から(-)シキミ酸のキラル合成を完成し、Bとシクロヘキサジエンとのディールス・アルダー反応を行うことにより、ポリシクロペンタノイド類のキラル合成法の確立への道をきり拓いた。 一方、10mercaptiosoborneolを不斉補助剤とする新規なキラルスルフィニルエテン類の合成研究を開始し、キラルアセチレンジカルボン酸エステル等価体であるdimenthyl(R)_s-2-(10-isobornylsulfinyl)malea te(C)を高ジアステレオ選択的に得ることができた。キラルジエノフィル(C)とシクロペンタジエンの反応はルイス酸存在下、予想通り高立体選択的かつジアステレオ選択的に進行し、ほぼ一種類の環化付加体のみを得た。この成績体を選択的脱メチル化、脱スルフエン酸を行い、Ohno's Half Esterを効率よく得ることができた。本合成法はcarbocyclic nucleosideの実用的キラル合成法として期待できるものである。
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