シクロプロパン環が縮環したポリキナン型化合物は天然化合物として広く分布し、生物活性作用の顕著なものが多い。本研究においては三環性化合物1のシクロプロパン環のC_1-C_2あるいはC_2-C_8結合を位置選択的に切断する方法を見い出し、その反応を鍵反応として種々のポリキナン型セスキテルペンを合成することとした。 1)化合物1及びその誘導体におけるシクロプロパン環の位置選択的開裂反応 化合物1は金属還元条件下でC_2-C_8結合が一方的に切断して化合物2を与え、置換反応条件下ではC_1-C_2結合が優先して切断が起こり化合物3を与えることがわかった。また、1より誘導したカルボン酸4は酸条件下で高収率で5を与えることも判明した。 2)(±)-ペンタレネンの全合成 化合物2を出発原料とし、トリキナン型セスキテルペンの一つであるペンタレネン(6)のdl体を立体選択的に合成した。 3)(±)-デカルボキシクァドロン及び(±)-クァドロンの合成 化合物3よりデカルボキシクァドロン(7)を、また5の誘導体8より抗腫瘍活性を有する特異な構造のジキナン型セスキテルペンの一つクァドロン(9)を合成する新しいル-トを開拓した。
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