研究課題/領域番号 |
63570997
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
入江 寛 長崎大学, 薬学部, 教授 (00025686)
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研究分担者 |
上野 民夫 京都大学, 農学部, 助教授 (20026579)
武田 成子 長崎大学, 薬学部, 助手 (50039640)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | 炭そ病菌胞子 / 自己発芽抑制因子 / グロエオスポロン / カルバメ-ト形成反応 / 光学分割 / 天然物全合成 |
研究概要 |
植物病原菌、炭そ病菌の胞子から自己発芽抑制因子として単離、構造決定されたグロエオスポロンにつき、その化学構造と生理活性との関係を明らかにすることを目的として、グロエオスポロ、及びその立体異性体を光学活性体として全合成する研究を行なった。 まず、ラセミ体の合成を計画し初年度(昭和63年度)においてほぼその目的を達成した。(日本薬学会109年会、有機化学部会において発表、平成元年4月、於名古屋)一方、上記の様にグロエオスポロ、及びその立体異性体を光学活性体として全合成するにはラセミ体の合成中間体を光学分割するのが適当と判断し、1-トリデセン-8-オ-ルの光学分割について検討した。従来アルコ-ルとイソシアネ-トとの反応によるカルバメ-ト形成反応には塩基性触媒が用いられてきたが一般に反応は遅く、しかも収率も良好とは言い難い反応であった。しかし、ルイス酸、例えば3フッ化ホウ素がこの反応に極めて良好な触媒であることを見出した(イギリス化学会誌に発表)。この反応を1-トリデセン-8-オ-ル(ラセミ体)に適用し2種のジアステレオマ-の混合物とし、これを分離後、得られたジアステレオマ-からD-およびL-1-トリデセン-8-オ-ルを再生し、以後ラセミ体の合成経路を踏襲してD-及びL-グロエオスポロン、ならびにそれぞれに対応する立体異性体を光学活性体として合成する事に成功した(未発表)。以上、合成したグロエオスポロン及びその異性体につき炭そ病菌胞子を用いて自己発芽抑制因子としての活性を検討した。しかし、いずれの化合物も極めて弱い自己発芽抑制因子活性しか示さなかった。この矛盾点を明らかにすべく現在各化合物の量産を行なっている。
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