研究概要 |
前年度に引続き安定で安全なトリメチルシリルジアゾメタン(Me_3SiCHN_2,TMSCHN_2)の有機合成への応用を検討し、以下の知見を得た。 1.(Z)-ビニルシランの新合成法-TMSCHN_2をn-ブチルリチウムで処理して得られるリチウム塩(TMSC(Li)N_2)をハロゲン化アルキルでアルキル化すると容易にα-トリメチルシリルジアゾアルカンが得られる。このシリルジアゾアルカンをベンゼン中ピバル酸ロジウム触媒の存在下分解すると、高収率かつ高選択的に(Z)-ビニルシランが得られることを見出し、その一般合成法を確立した。前年度で開発した塩化第一銅触媒を用いる(E)-ビニルシランの合成法と合わせると、TMSCHN_2を用いることによりハロゲン化アルキルより2工程で合成中間体として有用な(E)-および(Z)-ビニルシランをそれぞれ合成可能となった。 2.トリメチルシリルジアゾメタンとキノン類の反応-TMSCHN_2とP-キノンとの1,3-双極子環化付加反応を検討したところ、インダゾ-ル、シリルシクロプロパンおよび2-還換3-トリメチルシリルメチル-1,4-キノンが得られ。これらの生成物は用いるキノンに依存することが判明した。また0-キノンとの反応の場合は、全く異なる反応経路で進行してトリメチルシリルメチレンジオキシ体が生成することが明らかとなった。
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